
フィンランドのパワーメタルバンドStratovarius(ストラトヴァリウス)で活躍、
その後も様々なプロジェクトで活動していたTimo Tolkki「ティモ・トルキ」。
3月3日が誕生日なのでお祝いすると共に、
今後も活躍していって欲しいと思っていたら、
衝撃的なニュースを目にしてしまいました。
2025年3月からラテンアメリカツアーが開催される予定だったティモ・トルキ。
3月4日にメキシコ行きの飛行機に乗ろうとしたところ転倒し、
ツアーがキャンセルになったことが、
ティモの公式FACEBOOKにて語られました。
さらにdiabetes type 2 feet、つまり2型糖尿病で、
ほとんど歩けないことも公表し、
車いす姿の写真も公開されました。
2型糖尿病、生活習慣病の一つとされ、
日本でも大きな問題となっている病気です。
食べ過ぎや運動不足が原因とされ、
インスリンの作用不足で血液中のブドウ糖が正常より多くなり、
神経障害、動脈硬化などが出ているためか、
歩行が困難になっているのではと思われます。
StratovariusでBlack Diamond、Hunting High and Low 、
Eagleheartといった、
メタル界に残る名曲を生み出して華々しい活躍をしていましたが、
それとは裏腹に様々な問題も抱えていました。
Stratovarius - Eagleheart
確執によりティモ・コティペルト、ヨルグ・マイケルが脱退。
精神的にも参っていたのか双極性障害と診断され数ヶ月入院、リハビリすることとなります。
その後解散を宣言するも復帰したティモ・コティペルトなど、
残ったメンバーが存続を宣言したため2008年にティモ・トルキが脱退。
その後は様々なバンド、プロジェクトで活動することとなります。
2008年にソロ作品で「Saana – Warrior of Light Pt 1」をリリースし、
同年にRevolution Renaissanceを結成。
2010年まで3枚のアルバムをリリースするも解散。
元ANGRAのヴォーカル、アンドレ・マトス、
元HELLOWEENのウリ・カッシュらと共に新バンド、Symfoniaを結成。
他にもミッコ・ハルキン、ヤリ・カイヌライネンら実力者が集った、
パワー・メタル界のスーパーバンドで、
2011年リリースのアルバム、
In ParadisumサウンドもStratovariusらしさあふれるものでしたが、
ティモの精神的不調により、同年に無期限休止となっています。
Stratovariusを脱退してからバンドのフォーラムに荒し行為を行い、
アクセス禁止になっているという有名な話もあり、
精神的にかなり不安定であったことが感じられます。
2013年には新たにメタル・オペラ・プロジェクトの、
Timo Tolkki's Avalonを結成。
1stアルバムのThe Land of New Hopeには、
AMARANTHEのエリーゼ・リード、IMPELLITTERIのロブ・ロックをメイン・ヴォーカルとし、
HELLOWEENのマイケル・キスク、SYMPHONY Xのラッセル・アレン、
WITHIN TEMPTATIONのシャロン・アデル、SONATA ARCTICAのトニー・カッコも参加。
2021年の4thアルバム、The Enigma Birthまで、
毎回ゲスト・ヴォーカルを交えながら活動することとなりました。
他には2014年にはMASTERPLANのヨルン・ランデとSYMPHONY Xのラッセル・アレンによる、
ALLEN・LANDEの4thアルバム、The Great Divideのプロデュース、
Timo Tolkki's Avalonでゲスト・ヴォーカルを務めたこともあるチリ人ヴォーカリストの、
カタリーナ・ニックスのバンド、
CHAOS MAGICの1stアルバムにも参加するなど活動を続け、
自身も新たにバンド活動を続けようとしていました。
しかしながら新バンドInfinite Visionsのアルバム作成を、
クラウドファンディングで募集するも、
目標金額に達せずに解散。
バンド名の通りStratovariusのアルバム・タイトルからとられ、
Infinite、Visionsどちらもバンドどころかメタル史に残るとされる超名盤。
ティモ・トルキ・サウンドの究極系とも言えるものです。
サウンドももちろんそれらを意識したもので、
公開されたデモ音源からもそれを感じることができます。
Timo Tolkki’s Avalon - The Land of New Hope
INFINITE VISIONS - Five demo songs + bonus
しかしながらデビューに至らず解散してしまったのは残念で仕方ありません。
2023年にはドラムのトゥオモ・ラッシーラ、
キーボードのアンティ・イコーネンとともにDreamspaceを結成。
1994年リリースの3rdアルバムで、
ティモ・トルキによるヴォーカル、最後のアルバム。
ヤリ・カイヌライネンを除いた当時のラインナップでの結成で、
またもStratovariusの呪縛から逃れられない感はありますが、
ティモが久しぶりにヴォーカルも担当するとのことで、
アルバムReturn to Dreamspaceは期待されていました。
しかし同年末に銀行取引明細書の偽造などで、
ヘルシンキ地方裁判所から執行猶予付きの実刑判決を言い渡されます。
フィンランドのタブロイド誌による報道で、
もちろんティモの言い分もあり、
証拠が手に入れば控訴するつもりとコメントしていましたが、
やはりメタル界で一世を風靡した人物のこのような状況には、
残念の感想が出てきてしまいました。
それもあってかアルバムも一度延期報告があり、
現時点でもリリースはされていません。
長い期間の双極性障害による精神的負担、
今回の糖尿病による身体的負担と、
精神、身体どちらも満足に音楽活動を出来る状態ではないのだと推察できます。
しかしながら長年にわたって、メタル界を引っ張ってきた存在、
Stratovariusの呪縛から脱却し、
もう一度新たな輝きを見せてほしいものです。
著・METAL IS FOREVER店長 本間(2025/03/07)
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